借入金と自己資本比率の関係って、聞いたことはあるけど「よく分からない…」という方、多いと思います。
前回のブログで「借入は悪ではなく、未来への投資」という話をさせてもらいましたが、今回はその“借入”が経営にどんな影響を与えるのか?
特に**自己資本比率とどうバランスを取っていくべきか?**について深掘りしていきます。
■ 借入をすると自己資本比率はどう変化するの?
まず結論から言うと、借入が増えると、自己資本比率は下がります。
理由はシンプルで、自己資本比率はこのように計算されるからです。
自己資本比率 = 自己資本 ÷ 総資産 × 100
借入をすると、当然「負債」が増え、同時に「資産」も増えます(現金などが入るため)。
でも、自己資本が変わらなければ、分母が増えることで比率は下がるんです。
つまり、借入をすればするほど「自分のお金ではなく、他人のお金(借りたお金)で経営している」という状態になっていくということですね。
■ 自己資本比率は高ければ高いほどいいのか?
ここも誤解されやすいポイントですが、自己資本比率は高ければいいというものでもありません。
確かに、自己資本比率が高いということは、財務的には“安全性が高い”状態を意味します。
銀行や金融機関からの信用も得やすくなりますし、急な支出にも耐えやすいです。
ただし、極端に高い自己資本比率(例えば80%超など)は、資金を効率的に使えていない可能性もあるんです。
・利益は出ているのに、何年も事業投資せずキャッシュを寝かせている
・本来は新店舗出店などで拡大できるのに、怖くて動けない
このようなケースでは、むしろ経営の成長チャンスを逃しているかもしれません。
■ 自己資本比率の“目安”はどれくらい?
業種によって基準は異なりますが、美容室のような小売・サービス業では30〜40%前後がひとつの目安と言われています。
これくらいの比率であれば、
- 借入もある程度活用している
- でも自己資本もきちんと確保している という“ちょうどよいバランス”になっていることが多いです。
ただ、ここは一律で「○%が正解」とは言えません。
「これから店舗展開していきたいのか」「今は守りを固めたいのか」など、経営者のビジョンによっても適正なバランスは変わってきます。
■ 借入を活用しても、自己資本比率を維持するには?
ポイントはただひとつ。
**「しっかり利益を出して、自己資本を増やし続けること」**です。
借入は使っても構いません。むしろ必要なときは積極的に使うべきです。
でも、借りるだけ借りて、赤字経営を続けていれば自己資本は減り、自己資本比率も下がり続けます。
逆に、借入をしても毎年しっかりと利益を出し、その利益を社内に残していくことで、自己資本は増えていき、結果的に比率も回復していきます。
■ 「短期」と「長期」の借入の違いにも注目!
B/S(貸借対照表)を見るとき、借入には「短期借入金」と「長期借入金」の2つがあります。
- 短期借入金:1年以内に返済する必要がある借金
- 長期借入金:1年以上かけて返していく借金
短期の借入が多すぎると、資金繰りが急激に苦しくなるリスクがあります。
だから、もし大きな借入をするなら、できるだけ長期で組んで、返済ペースを緩やかにしておくのが基本です。
「無理せず返す」「手元資金に余裕を残す」ことが、財務健全性のカギになります。
■ 借入と自己資本比率の“見える化”が未来を変える
数字をちゃんと見て、把握して、意思決定をしていく。
これこそが、数字に強い経営者の条件です。
借入も、自己資本比率も、
ただ「なんとなく」で捉えるのではなく、「数値で把握し、バランスを取る」ことが重要。
これができるようになれば、銀行との付き合い方も変わりますし、将来の店舗展開や投資判断も、自信を持って行えるようになります。
次回予告
次回は「美容室経営における“キャッシュフロー”の考え方」についてお伝えします!
“利益は出てるけどお金が残っていない…”という現象に心当たりはありませんか?
それ、キャッシュフローを理解すればスッキリ解決できます!
【コンサルタント型美容ディーラー】株式会社ADAW 和田浩