コラム
2025/07/12

借入金は悪じゃない!美容室経営に必要な「借金との正しい付き合い方」

「借金はできるだけ早く返したほうがいい」
「借入が多いと不安になる…」
美容室オーナーさんと話していると、こういった声を本当によく耳にします。

もちろん、借金が多すぎて返済ができなくなるのは問題です。
でも、借入金=悪というわけではありません。
むしろ、正しく借りて、正しく使えば、経営を安定させるための強力な味方になります。

今回は、経営者が知っておくべき「借入金と財務バランス」の基本について、わかりやすくお伝えしていきます。


■ そもそも借入金って悪いことなの?

借入金と聞くと、「借金」という言葉が先行して、どうしてもネガティブに受け止めがちです。

でも、よく考えてみてください。
サロンを出店するとき、多くの経営者が融資を活用して設備を整えたり、内装を仕上げたりしますよね?
これ自体が「借入金を活用して、未来の利益をつくる投資」になっているのです。

要するに、**借入金は「未来の成長に向けた前向きな資金調達」**であって、悪者ではありません。
ただし、その借入が「無理のない返済計画であること」が大前提になります。


■ 返済は急ぎすぎないほうがいい理由

よくある誤解が、「借金は早く返したほうがいい」という考え方です。

確かに、借入があることで利息が発生しますし、返済義務もあります。
でも、手元のキャッシュを無理に削ってまで繰り上げ返済をしてしまうと、経営の余裕が一気になくなるんです。

仮に手元に100万円のキャッシュがあるとして、70万円を返済に回してしまうと、突発的な出費があったときに対応できません。
キャッシュに余裕がない=経営に余裕がない、ということです。

大事なのは、「手元にお金を残しながら、返せるペースで計画的に返していく」こと。
財務のバランスを見て、“安全に返す”ことが経営では最優先なんです。


■ B/Sで見るべき借入金の位置づけ

ここまで読んでくださっている方は、すでに「B/S(貸借対照表)」の重要性はわかっていただけていると思います。
その中でも、借入金はB/Sの「負債」の部分に記載されます。

ここで注目してほしいのが、「自己資本比率とのバランス」です。

自己資本比率とは、総資産の中に占める純資産(自己資本)の割合。
つまり、「どれくらい自分のお金で経営しているか?」という指標です。

借入金が多すぎると、この比率は下がります。
自己資本比率が下がりすぎると、銀行からの信頼が下がったり、資金調達が難しくなったりするリスクもあるので、借入は自己資本とのバランスを見て調整することが大切になります。


■ 借入=未来へのレバレッジ(てこの原理)

借入をうまく使うことで、自己資金だけでは成し得なかったスピード感ある成長が可能になります。

たとえば:

  • もう1店舗を出したい
  • 優秀なスタイリストを採用したい
  • サロンのブランディングを強化したい

こんなとき、全額自己資金でやろうとすると、かなりの時間がかかってしまいます。
でも、借入をうまく使えば「今、未来のための投資」ができるのです。

だからこそ、「借入は未来の売上を生み出すためのレバレッジ」だと理解して、
資金繰りと財務バランスを考えた上で、積極的に活用していくべきだと思っています。


■ 銀行との付き合い方も重要な経営スキル

美容室オーナーとして、日々のサロンワークに集中していると、つい銀行との関係は後回しになりがちですが、
「お金を借りる=銀行と信頼関係を築く」という視点も非常に大事です。

銀行は、決算書だけではなく、日頃の付き合い方や、定期的な報告、今後のビジョンなども見ています。
だから、財務をしっかり理解し、自分の言葉で将来の展望を語れる経営者は、信頼されやすくなります。


■ 借入金はコントロールするもの

まとめますと、借入金は決して悪ではなく、
・未来の成長のための資金調達
・手元資金を守るための安全策
・信用力を維持しながらの経営戦略

として、非常に重要な経営リソースです。

大切なのは、「借入を恐れず、コントロールする力を身につけること」
財務の知識があれば、それは可能になります。


次回予告

次回は「借入と自己資本比率のバランスをどう保つか?」をテーマにお届けします!
借入が増えると自己資本比率はどう変化するのか?
どんなラインを意識しておけばいいのか?
美容室経営に必要な「見える化」と判断軸を一緒に整理していきましょう!

【コンサルタント型美容ディーラー】株式会社ADAW 和田浩

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