「去年は黒字だったのに、なんだかお金が全然残ってない…」
そんな声を、美容室オーナーさんから本当によく聞きます。
数字を見ていると、確かに利益は出ている。でも、口座には思ったほど現金が残っていない。
「なんで?」「どうして?」
こういった疑問が頭の中にぐるぐる回り始めて、気がつけば不安に包まれてしまう方も少なくありません。
実は、こういった現象には明確な理由があります。
そしてその答えこそが、今回からお伝えしていきたい「キャッシュフロー」という考え方にあります。
利益=お金じゃない。
まず大前提として知っていただきたいのは、
「利益が出た=お金が増えた」ではない
ということ。
これはすごく大事な視点です。
会計上の「利益」と、実際に動く「お金(キャッシュ)」には、大きなギャップがあることがよくあります。
たとえば、こんなことありませんか?
- 売上が計上されたけど、まだ入金されていない
- 美容機器をローンで購入したので、利益は減ってないけど支払いは発生している
- 商品在庫をたくさん仕入れたけど、まだ売れていない
こういった要因によって、利益は出ているのに手元のお金が増えないということが起こります。
キャッシュフローを知らないと、経営は苦しくなる。
キャッシュフローとは、「お金の流れ」を意味します。
お店に入ってくるお金(インフロー)と、出ていくお金(アウトフロー)の流れを把握することで、経営の安定性が見えてきます。
このキャッシュフローが見えていないと、いくら売上や利益の数字を見ていても、
「月末に支払いができるかどうかが分からない」
というような不安定な経営になります。
だからこそ、これからの時代、美容室経営においてもキャッシュフローの把握は“必須スキル”になってきています。
数字が苦手なオーナーこそ、キャッシュフローを味方に。
「数字が苦手なんです…」というオーナーさんほど、ぜひこのキャッシュフローの感覚を身につけてほしいと思っています。
キャッシュフローの理解が進むことで、
- 月々どれくらいの支払いがあるのか
- 売上がどれくらい必要なのか
- どこでお金が減ってしまっているのか
こういった経営の“リアルな数字”が見えるようになります。
経営に対する不安やストレスも大きく減り、安心して将来のビジョンを描くことができるようになります。
利益が出ても、お金が残らないのは「悪」ではない。
ちなみに、利益が出ていてもお金が残らない状況が常に「悪」かと言えば、必ずしもそうではありません。
たとえば、将来の投資として美容機器を購入した、店舗を改装した、教育のためにセミナー費用をかけた――
こういった支出は、現金を減らしますが、未来の売上につながる可能性があります。
大切なのは、「どこに」「どんな目的で」お金を使っているのか。
そして、「いつ」それが回収されるのかを、きちんと見える形にしておくことです。
まとめ:利益とキャッシュフローは別物。だからこそ、両方が大事。
「利益は出ているのに、お金が残らない」
このモヤモヤを解消するカギは、「キャッシュフローの可視化」にあります。
売上や利益だけを追いかけるのではなく、
お金の出入りそのものをしっかり把握することが、経営の安定・成長への第一歩です。
次回は、さらに一歩踏み込んで、
「キャッシュフローを把握するためには、まず何から見ていけばいいのか?」
というテーマでお話ししていきますね!
【コンサルタント型美容ディーラー】株式会社ADAW 和田浩