前回のブログでは、目先の税金を減らすためだけの“過度な節税”が、結果的に自己資本比率を下げ、会社の財務基盤を弱くしてしまう危険性についてお伝えしました。
特に、美容室経営者の多くは「利益を出したら税金が増える」「できるだけ経費を使って利益を減らしたい」と考えがちです。でも、本当に目指すべきは「強い財務体質を作ること」であって、「税金を減らすこと」ではないはずです。
では、どうすればお金を残しながら、健全な経営を実現できるのか?
今回のテーマは、そのカギとなる 「減価償却」 についてです。
■ 減価償却とは?
減価償却とは、簡単に言えば「高額なモノを買ったときに、一度に経費にしないで、数年に分けて少しずつ経費化する仕組み」のことです。
たとえば、美容室で100万円のシャンプー台を購入した場合、その100万円を一度に経費として処理してしまうと、購入した年の利益が大きく減ります。でも、それを5年間で償却(=減価償却)するとなると、毎年20万円ずつを経費にしていくことになります。
そして重要なのは、**この減価償却費は「実際にお金が出ていかないのに、経費として計上できる」**という点です。
つまり、現金は残ったままなのに、帳簿上では利益が減る=節税ができるという、非常に効率的な“経営者の武器”なのです。
■ 減価償却は「賢い節税」
節税には、「お金が減る節税」と「お金が減らない節税」があります。
・お金が減る節税…高額な備品を買って利益を減らす
・お金が減らない節税…減価償却や繰延べ、税額控除などを使う
このうち、減価償却は「お金を減らさない節税」の代表例。
しっかりと利益を出しつつも、必要に応じて節税効果を得られる。
これは、キャッシュを守りながら、自己資本比率を高めていくための重要な考え方です。
■ 減価償却を経営戦略に活かす
減価償却はただの“税務処理”ではありません。
適切に使えば、未来に向けた戦略的な投資にもなります。
たとえば、新しい設備投資を行い、減価償却費として計上しておけば、毎年の経費が安定して増えます。
これは、短期的な利益のコントロールにもつながり、税金をうまくコントロールすることにもなるんですね。
そして何より、減価償却の内容はB/S(貸借対照表)にも関わってきます。
たとえば、「減価償却累計額」は固定資産の簿価を減らす要素であり、B/Sの「資産の部」に影響します。
また、減価償却費の積み重ねによって生まれたキャッシュが「現預金」として残っていれば、それは自己資本比率の向上にも繋がります。
■ 正しく減価償却を理解すれば、お金が残る経営ができる
美容室経営者の中には、「税理士さんに任せてるからよく分からない」と思っている方も多いかもしれません。
ですが、経営者自身が「減価償却とは何か?」を理解し、数字の意味を読み解けるようになることで、
無駄な出費を避け、必要な投資を見極め、正しい売上目標を立てることができるようになります。
数字に強い経営者は、確実に強い経営を実現できます。
次回予告
次回は、減価償却とキャッシュフローの関係性について深掘りしていきます。
「利益は出てるのに、なぜかお金が残らない…」と感じている方にこそ読んでほしい内容です!
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【コンサルタント型美容ディーラー】株式会社ADAW 和田浩