これまでの記事で、売上目標の立て方・資金繰り・B/S（貸借対照表）の基本的な見方 について解説してきました。
しかし、多くの美容室オーナーだけでなく、一般の経営者でも 「財務が理解できている」と言える人は少ない のが現実です。
なぜなら、本当に財務を理解するためには、B/Sを深く読み解く力が必要 だからです。
✔ 売上や利益が出ていればOK？ → ❌間違い
✔ 資金繰りが回っていれば問題なし？ → ❌それも危険
財務を理解するとは、単にお金の流れを把握するだけではなく、「お店の財務状態を可視化し、将来の経営判断ができること」 を指します。
今回は、「財務がわかる経営者」とはどういうことか？ について、より深く掘り下げていきます！
■ そもそも「財務を理解する」とはどういうこと？
「財務」と聞くと、多くの経営者は 「お金の管理」「キャッシュフロー」「売上・利益」 などを思い浮かべるでしょう。
しかし、これだけでは 「本当の財務理解」 にはなりません。
✔ 財務を理解する＝B/S（貸借対照表）が読めること
これが 財務を理解するための絶対条件 です。
B/Sは、美容室の経営状態をすべて表す「経営の成績表」ですが、
実はこれを 正しく読めるオーナーはほとんどいません。
では、なぜB/Sが重要なのか？
■ 「利益が出ているのに、お金が残らない」美容室の落とし穴
美容室のオーナーの多くは、
✅ 「売上を伸ばせば、お金が増える」
✅ 「黒字だから大丈夫」
✅ 「会計処理は税理士に任せているから問題ない」
と思いがちですが、これは非常に危険な考え方 です。
たとえば、こんなケースを考えてみましょう。
✔ 売上1,000万円、利益100万円の美容室がある
✔ でも、なぜか手元にお金がほとんど残っていない…
これは典型的な 「利益は出ているのに資金繰りが厳しい」 状態です。
なぜこのような状況が起こるのか？
それは、B/Sを見ていないから です。
B/Sを見れば、
✅ 「借入金の返済が多すぎて、利益が消えている」
✅ 「売掛金が増えすぎて、現金化できていない」
✅ 「設備投資をしすぎて、資金繰りが悪化している」
などの問題点が明確にわかります。
B/Sを正しく読める経営者は、
「利益が出ている＝お金が増える」という単純な発想ではなく、
「お店全体の財務バランスを見ながら、どれくらい現金を残せるか？」 を考えられるのです。
■ 「財務が強い経営者」と「財務が弱い経営者」の違い
🔹 財務が強い経営者
✅ P/L（損益計算書）とB/S（貸借対照表）をセットで見ている
✅ 売上目標だけでなく、手元に残す現金の目標も決めている
✅ 資産・負債のバランスを意識し、無理のない経営をしている
🔹 財務が弱い経営者
❌ P/L（売上・利益）だけを見て、一喜一憂している
❌ 「黒字ならOK」と思い込み、資金繰りの問題に気づかない
❌ 借入や投資の計画を立てず、行き当たりばったりの経営をしている
財務が強い経営者は、
「今、手元にどれくらいのお金があるか？」 ではなく、
「この先、資金繰りがどうなるか？」 を常に考えています。
つまり、B/Sを深く理解し、将来の経営判断ができることが重要 なのです。
■ B/Sを活用するための3つのステップ
では、具体的に B/Sを活用するにはどうすればいいのか？
次の3つのステップを意識してみましょう！
【ステップ①】B/Sの「資産・負債・純資産」を確認する
まずは、お店が持っているお金やモノ（資産）と、支払わなければならない負債のバランス を確認しましょう。
✔ 「お店の純資産（自己資本）はどれくらいあるか？」
✔ 「負債の割合は適切か？」
✔ 「短期的な資金繰りは問題ないか？」
これらを定期的にチェックすることが大切です。
【ステップ②】「キャッシュフロー」に注目する
B/Sを見ながら、「本当にお金が増えているか？」 を確認しましょう。
✔ 「売掛金が多すぎて、資金繰りが苦しくなっていないか？」
✔ 「借入金の返済計画は適切か？」
✔ 「無駄な支出を減らせるポイントはないか？」
キャッシュフローが健全であれば、財務のリスクも減ります。
【ステップ③】「長期的な財務戦略」を立てる
B/Sを活用しながら、
✅ 将来の設備投資や借入計画を立てる
✅ 自己資本比率を上げ、強い財務体質をつくる
✅ 資金繰りの不安をなくし、安定した経営を実現する
といった 長期的な視点で経営計画を考える ことが重要です。
■ まとめ
✔ 「財務を理解する」とは、B/S（貸借対照表）を正しく読み解くこと
✔ 利益だけでなく、資産・負債のバランスを把握することが大切
✔ 財務が強い経営者は、短期ではなく長期の資金計画を考えている
✔ B/Sを活用することで、安定した美容室経営が可能になる
「財務が強い美容室オーナー」になるために、
ぜひB/Sをしっかり理解し、経営の土台を固めていきましょう！
次回は、「B/Sを経営戦略に活かす具体的な方法」 について、さらに詳しく解説していきます！
【コンサルタント型美容ディーラー】株式会社ＡＤＡＷ 和田浩
