前回の記事で B/S(貸借対照表)を活用して資金計画を立てることが重要 だとお伝えしました。
しかし、実際にB/Sを見ても、
「何をどう読み解けばいいのかわからない…」
「そもそもB/Sのどこを見ればいいの?」
というオーナーも多いのが実情です。
美容室経営では、売上や利益だけを見ていると、資金繰りが悪化するリスクがあります。
そこで今回は、「B/Sを活用し、安定した経営を実現する方法」 について解説していきます!
■ B/S(貸借対照表)とは?
B/Sとは、「今現在の美容室の財務状況を表す表」 のことです。
カンタンに言えば、「お店の健康診断書」 みたいなものですね。
📌 B/Sは 「資産」「負債」「純資産」 の3つで構成されています。
項目 | 内容 | 具体例 |
---|---|---|
資産(Assets) | お店が持っているお金やモノ | 現金、預金、設備、在庫、売掛金 |
負債(Liabilities) | 返済しなければならないお金 | 借入金、未払いの家賃・光熱費、買掛金 |
純資産(Equity) | 資産から負債を引いたもの(オーナーの持ち分) | 利益の蓄積、自己資本 |
このB/Sを見ることで、
✅ 「お店にどれくらいの資産があるのか?」
✅ 「どれくらいの負債があるのか?」
✅ 「実質的に自由に使えるお金はいくらなのか?」
がひと目でわかるようになります。
■ なぜB/Sを理解することが重要なのか?
美容室の経営で「売上や利益」ばかりを気にするオーナーは多いですが、
本当に重要なのは、最終的に手元にどれくらいの現金(キャッシュ)が残るか? です。
たとえば…
✅ 「売上は前年より伸びたのに、なぜかお金が足りない…」
✅ 「黒字経営なのに、資金繰りが厳しくなることがある…」
このような状況が起こるのは、B/Sの管理ができていないことが原因 です。
具体的には、
✔ 借入が増えすぎて、返済負担が大きくなっている
✔ 設備投資をしたが、回収ペースが遅いため、資金繰りが苦しい
✔ 売掛金(未回収の売上)が増えすぎて、現金が不足している
といった 「お金の動き」 を把握できていないと、経営のバランスが崩れやすくなります。
B/Sをしっかり管理することで、
「お店にとって適正な負債の量」 や 「資産の使い方」 を見極めることができるようになります!
■ B/Sを活用するための3つのポイント
【ポイント①】「自己資本比率」をチェックしよう!
自己資本比率とは、「お店の財務的な安定度を示す指標」 です。
✅ 自己資本比率 = 純資産 ÷ 総資産 × 100%
例えば、
✔ 自己資本比率が50%以上 → 財務的に安定している
✔ 自己資本比率が20%以下 → 負債が多く、資金繰りが不安定
目安として、30%~40%以上が理想 とされています。
自己資本比率が低すぎる場合は、利益を蓄積する・借入の返済計画を見直す などの対策が必要です。
【ポイント②】「流動比率」で資金繰りを確認しよう!
流動比率とは、「短期的に資金繰りが安定しているか?」 を示す指標です。
✅ 流動比率 = 流動資産 ÷ 流動負債 × 100%
✔ 流動比率が100%以上 → 短期の資金繰りが安定
✔ 流動比率が100%未満 → すぐに資金不足になるリスクあり
もし100%を下回っている場合は、手元資金の確保や支払いサイクルの見直し が必要になります。
【ポイント③】「借入金のバランス」をチェックする!
借入金は美容室の成長に欠かせませんが、借りすぎると資金繰りが悪化 するリスクがあります。
特に、「短期借入金」と「長期借入金」のバランス に注意しましょう。
✔ 短期借入金(1年以内に返済するもの) → 多すぎると資金繰りが厳しくなる
✔ 長期借入金(1年以上の返済期間) → 設備投資などに活用する
美容室の経営を安定させるためには、長期借入を適切に活用し、短期の資金繰りを圧迫しないことが重要 です。
■ まとめ
✔ B/S(貸借対照表)は、美容室の「財務の健康診断書」
✔ 自己資本比率をチェックし、財務の安定性を確認する
✔ 流動比率を把握し、短期の資金繰りを管理する
✔ 借入金のバランスを考え、無理のない経営を心がける
B/Sを読み解くことで、「美容室経営の本当の健康状態」 を把握することができます。
次回は、「実際にB/Sを活用して、どのように経営判断をすればいいのか?」 について、さらに深掘りしていきます!
「財務に強い美容室オーナー」を目指して、一緒に学んでいきましょう!
【コンサルタント型美容ディーラー】株式会社ADAW 和田浩